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タイムカプセル

 仕事で外出した、とある下町で「卒業生の皆さん タイムカプセルを掘り起こしに来ませんか」というポスターを見掛けた。ポスターを読むと地元の小学校で二〇年前に埋めたタイムカプセルを近々掘り起こす事の告知とそのイベントへの参加を呼び掛けるものだった。「タイムカプセル」。なんとロマンに満ちた言葉であろう。たかだかプラスチックか金属の箱にすぎず、科学的な要素なんか微塵もないのに、小学生の琴線にはかなりインパクトのある言葉だ。それに二〇年後などといった、自分の人生よりも長い時間がとてつもなく長い時間に思えたりしたもんだ。

 そう言えば僕等も小学校で創立一〇〇周年のイベントとしてタイムカプセルを埋めた。正確には上級生がやった。三年生の時だから、もう三〇年以上前の事だ。そのタイムカプセルは一〇〇周年記念碑の地下に、墓石の下の遺骨のような状態で納められた。中身は当時の教科書や学校の文集とかだったと思う。記念碑には「一九九九年に掘り起こす」旨記されていた。と言う事はもう掘り出されてしまっているはず。

 当時は一九九九年と言えばずっと先の未来で、しかもその年にはノストラダムスの予言で人類が滅亡するため、そのタイムカプセルは永遠に日の目を見ないものだと思ったりもした。洒落で「ノストラダムスの大予言」の本をタイムカプセルに入れておけば面白かったかもしれない、と今頃思ってとても悔しい。

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