日直の仕事
朝はいつもより早く登校し、教室の窓を開ける。今日、僕は日直だ。窓を開け終わると、職員室に行って「学級日記(日誌)」を受け取ってくる。日直は座席の順番で二人一組となってまわって来る。自分達の机の上には「日直」と書かれた三角錐が置かれている。中にはうっかり日直だったことを忘れたり、分かっていてもとぼけて朝早く登校してこない輩もいる。
公に対する日直としての初仕事は「朝の会」の司会である。ここで「今日の目標」なるものを決める。しかしこの目標にはあまり意味がなかったような。授業の終わるごとに黒板を消し、そして窓を開け、黒板消しをはたいておく。今では黒板消しのクリーナーが各教室に備えられている。
給食時間には日直のいずれか一方(二人のうち一人)が教卓で給食を食べる。わざわざ教卓で給食を食べる理由は食事開始の「合掌」を行うためである。「手を合わせて下さい。いたーだきます」。「いたーだきます」。
一日の終わりは「帰りの会」の司会である。翌日の時間割の伝達や一日の生活の反省などが行われる。しかし、会の半分以上は先生の話だったような気がする。
これで、下校の時間となるが、日直にはまだ仕事が残っている。学級日記を書くことだ。学級日記にはその日の時間割、教科内容、欠席者などを決められた書式にしたがって記入する。学級日記は各学期に一冊の冊子になっている。それに日直が気づいたことを自由に記載する欄があり、それに対して担任の先生が感想などを書いてくれる。
あとは黒板の「日直」の欄の自分達の名前を消して、明日の当番の名前に書き換え、教室の窓を全部閉める。日直の三角錐を次の席に移し、そして書き上げた学級日記を職員室まで持って行って、長かった日直としての一日の作業は終わりとなる。
以上が私が通った小学校の昭和五〇年代前半の日直の仕事の全貌である。ごく稀な確率で、日直の日に席替えが行われ、翌日もまた日直という不運な者もいたりする(かな?)。
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