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揚げパン

 小学校の給食となると、私の頃は連日、パンが主食であった。おかずにパンに牛乳、それにもう一品、デザートのようなものが付くというのがお決まりだった。米飯も数ヶ月に一度といった感じで登場していたが、それはあらかじめビニールの袋に個々に入っていて、それを当番が配ってまわるものだった。そのときのおかずはカレーと決まっていた。単に白飯のままということはなく、言わば当時米飯はハレの日だった。けど、米飯と牛乳は味覚的にミスマッチ。
 給食当番は各自担当分野が決められていた。おかず係、食器係、おぼん係、牛乳係、それにパン係だ。その名の通りほぼ毎日がパンなのだからこれで良かったが、最近の学校給食では米飯の頻度も高い。今もパン係という呼称は存続しているのだろうか?。「パン・ごはん係」ではどっちつかずで座りが悪い。「主食係」では低学年に分かりづらい。

 さて本題のパンであるが、当時、基本は食パンとコッペパンの交互の繰り返しだった。食パンの場合は低学年では二枚、高学年では三枚だった。ただし、同様にコッペパンの大きさに学年の差があったどうかは不明。そして何よりも我々が心待ちにしたのは「揚げパン」であった。コッペパンを油で揚げ、それにきな粉をまぶしたものだ。この揚げパンに「ミルメーク」なんか付いた日は、おかずはさておき、至福のメニューだったと言えよう。

 いつもなら手づかみで食べるコッペパンもこの日ばかりはそうはいかない。誰もが先割れスプーンでこれを突き刺し、食らいつく。あまり行儀が良いとは言えないがこれ以外のスタイルは難しい。特に男子は。そしてきな粉が口の端に残ってしまう。ここで牛乳飲んで、今度は白いひげをそれに加える。揚げパン人気は今も健在だというのは確かだが、牛乳はパックになってしまったのでこんな子供はもはや存在しないはず。

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